【「厳粛な綱渡り」大江健三郎、文藝春秋刊、昭和四十年】
北朝鮮に帰国した青年が金日成首相と握手している写真があった。
ぼくらは、いわゆる共産圏の青年対策の宣伝性にたいして小姑的な敏感さをもつが、
それにしてもあの写真は感動的であり、ぼくはそこに希望にみちて
自分および自分の民族の未来にかかわった生きかたを始めようとしている青年をはっきり見た。
逆に、日本よりも徹底的に弱い条件で米軍駐留をよぎなくされている南朝鮮の青年が
熱情をこめてこの北朝鮮送還阻止のデモをおこなっている写真もあった。
ぼくはこの青年たちの内部における希望の屈折のしめっぽさについてまた深い感慨をいだかず
にはいられない。
北朝鮮の青年の未来と希望の純一さを、もっともうたがい、もっとも嘲笑するものらが、
南朝鮮の希望にみちた青年たちだろう、ということはぼくに苦渋の味をあじあわせる。
日本の青年にとって現実は、南朝鮮の青年のそれのようには、うしろ向きに閉ざされていない。
しかし日本の青年にとって未来は、北朝鮮の青年のそれのようにまっすぐ前向きに方向づけら
れているのでない。
【「わがテレビ体験」大江健三郎、「群像」、昭三十六年三月号】
結婚式をあげて深夜に戻つてきた、そしてテレビ装置をなにげなく気にとめた、
スウィッチをいれる、画像があらわれる。
そして三十分後、ぼくは新婦をほうっておいて、感動のあまりに涙を流していた。
それは東山千栄子氏の主演する北鮮送還のものがたりだった、
ある日ふいに老いた美しい朝鮮の婦人が白い朝鮮服にみをかためてしまう、
そして息子の家族に自分だけ朝鮮にかえることを申し出る……。
このときぼくは、ああ、なんと酷い話だ、と思ったり、
自分には帰るべき朝鮮がない、なぜなら日本人だから、というような
とりとめないことを考えるうちに感情の平衡をうしなったのであった。
23 :吾輩は名無しである:04/12/09 09:18:30
「北朝鮮の青年の未来と希望の純一さ」は、
「南朝鮮」の青年達が疑い、嘲笑したように、今日の破局の中に失われて しまった。
大江氏がこれだけ思い入れをした「老いた美しい朝鮮の婦人」や、
「希望にみちて自分およぴ自分の民族の未来にかかわっ た生きかたを始めようとしている青年」達は、
今や住む家も洪水に 流され、食べ物も自由も希望もなく、ただ餓死を待っているであろう。
そうした北朝鮮の惨状について、大江氏はどう考えているのだろうか。
大江氏が昔の自分の文章を覚えているなら、自らの不明を恥じて、読者にお詫びをするとともに、
自分の見通しがなぜ間違った のか、思想的にきちんとした反省をしなければならない。
それをし ないこの人は言論人としての資格はない。将来も、また同じような過ちを繰り返すのみである。
また上記の熱のこもった文章が、単なる共産主義かぶれの若気の至りではなく、北朝鮮の人々への真実の思い入れだとしたら、
自ら率先して、北朝鮮救援活動を始めるか、ノーベル賞の賞金を北朝鮮 救済の資金として提供する位の事はあっても良いのではないか。
大江氏は、昨年は米国プリンストン大学で静かな研究生活を送ったようだが、現在は別の意味で
「帰るべき朝鮮がない」のだろうか。要はつねに人事なのだろうか。
あれは何で読んだのだろうか、
大江健三郎の、おそらく昭和30年代に書かれた文章だ。
「祖国」たる北朝鮮に「帰って」行く「在日」の人々を”賛美” した文章だった。
その当時、盛んに在日韓国朝鮮人の人々の、北朝鮮への「帰国」運動が行われていたのだった。
大江の文章は、北への「帰国」を選んだ人々の爽やかな笑顔の印象を語り、
また、「帰国運動」に抗議してデモを行う韓国の学生たちを、政府の指令に従って動いているだけの愚劣な者たち、として描き出していた。
この「帰国運動」が、どのような結果になったのか、「帰って」行った人々がどのような運命をたどったのか、我々はすでに知っている。
帰国体験者の証言や、公表された手記によって。それが、いかなる悲劇への招待状であったかを。
だが、大江が「北への帰国者」の清々しさを語り、映画のフィルムに「北」 において実現されるであろう
幸福な新婚生活を信じ夢見る若いカップルの姿が焼き付けられたあの時代、 そんな”事実”は、誰も知らずにいたのだ。
そして、その”真実”が幻想だったと分かってしまった今日。幻想だった ”真実”を賛美してしまった人々は、
その件に関して口をつぐみ、まるで何も なかったように、そんな過去への責任を放棄したままである。
・大江健三郎【作家】
「広島、長崎のあの大きい犠牲は、償わなければならないと思います。 償うのは私たち(引用者注:日本人)です。」
出典元:1994年10月17日京都で開催された講演会「世界文学は 日本文学たりうるか?」より
大江健三郎といえば、戦後日本を堕落させてきたいわゆる「進歩的文化人」、
「戦後民主主義者」の巨頭である。
彼は、スウェーデンの王立アカデミーが授与するノーベル文学賞はもらうが、
文化勲章は辞退した。外国の王室がくれるものはもらうが、日本の皇室が授与する
ものは辞退する。典型的な日本蔑視、西洋崇拝の態度である。なんら一貫性はない。
また、彼は、北朝鮮を賛美し、日本人であることを後悔していた。原爆が落とさ
れたのは日本人の責任であると主張してもいる。
そのくせ、日本の豊かさの恩恵を受け、外国に亡命することなど露ほども考えない。
붉은기 추켜들고 진격해간다
총대를 앞세우고 돌격해간다
일심의 천만대오 이끌고가는
그 모습은 선군기치다
공격 공격 공격앞으로
장군님의 혁명방식은
백두산번개처럼 공격
정일봉우뢰처럼 공격
공격 공격 공격전이다
国民栄誉賞は辞退してノーベル賞はウキウキで取りに行ったジジイ
松本清張は大江健三郎の左思想も三島由紀夫の右思想も本来の本質ではないと言ってる
あくまでも小説の題材を探して流れ着いた先に過ぎず
大江健三郎の本質は初期の感覚的文章にあると