【ワシントン=池田慶太】米国、ウクライナ両政府は11日、ロシアのウクライナ侵略に関する高官協議を踏まえて共同声明を発表し、米国が提案した30日間の即時停戦案にウクライナが同意したと明らかにした。これを受け、米国は一時停止中のウクライナへの軍事支援などを再開する。米国は近くロシアに停戦案を示す予定で、2022年2月の侵略開始後、初の停戦に至るか露側の対応が焦点となる。
11日、サウジアラビアのジッダで協議する米国とウクライナの政府高官ら=AP
サウジアラビアで同日開かれた高官協議後の共同声明によると、米ウクライナの代表団は「恒久的な平和に向けたプロセスを開始すべき時だ」との認識で一致。ウクライナは、露側の同意を前提に、「即時かつ暫定的な30日間の停戦」という米国の提案を受け入れる用意があると表明した。当事者の合意によって停戦期間の延長も可能とされている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日のビデオ演説で、ミサイルや無人機などによる攻撃のほか、黒海での戦闘停止などを提案したが、最終的に米国案で折り合ったと明かした。米側の提案は「前線全体で30日間、完全な停戦を確立しようとするものだ」と説明した。
米国のトランプ大統領は、2月末のゼレンスキー氏との会談決裂を受け、ウクライナに対する軍事支援と機密情報の共有を一時的に停止した。共同声明には、米国がいずれも即時に再開させると明記された。
トランプ氏は11日、高官協議後にホワイトハウスで記者団に、停戦案について「プーチン露大統領が同意することを願っている」と語った。12日にも米露交渉が行われるとの見通しを明らかにし、数日以内にプーチン氏と協議する意向も示した。ゼレンスキー氏を再びホワイトハウスに招くか記者団から問われ、「もちろんだ」と答えた。
一方、ウクライナの安全保障を巡っては、米ウクライナ両政府が交渉チームを指名した上で協議していくことを申し合わせた。米側は、ウクライナ側の要望をロシアと協議することを約束。ウクライナ側は、和平プロセスに欧州の友好国を関与させるよう求めた。
また、ウクライナの鉱物資源の権益に関する協定については、早期締結を目指す方向で米ウクライナの首脳が合意したことも共同声明に盛り込んだ。
高官協議には、米側はルビオ国務長官、マイク・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官、ウクライナ側はアンドリー・イェルマーク大統領府長官、アンドリー・シビハ外相、ルステム・ウメロフ国防相が出席した。
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