新座市の私立西武台高校で、50代の男性教員2人からセクシュアルハラスメント(セクハラ)を受けて精神的苦痛を被ったにもかかわらず、学校側が適切な対応を取らなかったために退職に追い込まれたとして、元職員の女性(39)が同校と教員2人を相手取り、慰謝料など約1千万円の損害賠償を求めてさいたま地裁に近く提訴することが29日までに、分かった。女性は「二度と同じような被害が出ないためにも、事実を認めて真摯(しんし)に対応してほしい」と話している。
訴状などによると、女性は2013年、同校に入社。男性教員から突然抱き付かれて体を触られる被害に遭ったり、別の男性教員から連日メールや電話があり、無理やりキスを迫られるなどしたとされる。15年2月、女性は同校に被害を相談したが、適切な措置がなされずに退職届を出すように要求され、退職を余儀なくされたという。
同校は埼玉新聞の取材に「学校内で調査したが、セクハラという事実は確認していない」と回答した。同校によると、当時、同校ではセクハラに関する相談窓口を設置していなかったため、埼玉労働局から指導を受けて窓口を設置したという。
「どうして私が辞めなくてはならなかったのか」。約2年勤めた同校から退職を迫られたという女性は、割り切れない気持ちを抱き続けている。「生徒からたくさんの笑顔をもらった。やりがいのある仕事を手放したくない」と職場復帰を望んだが、認められなかったという。
退職後、約2年間は重度の自立神経失調症を患い、新しい仕事に就くことができなかった。現在も心療内科に通院、夜も眠れない日々が続く。
女性は同校に対して、謝罪や教員2人の処分を求めてきた。だが、謝罪や連絡はなく、「うやむやにしてはいけない」と提訴を決意。「生徒を指導する学校現場でセクハラはあってはならないこと。今回の件を機会に、学校の環境を改善してほしい」と願っている。
配信2017年9月29日(金)
埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/09/30/02_.html