日大の体質改善、本当にできる? 元理事姉の広告会社との契約継続が判明 林真理子新理事長、未把握を会見で露呈
日大事件を受けた今年3月の第三者委員会の調査報告書は、元理事の井ノ口忠男被告(65)=背任罪で起訴=の姉が経営する広告会社と大学の癒着を指摘した。同社との契約は今も一部続いていることが本紙の取材で判明し、大学関係者らは「本当に決別できるのか」と厳しい視線を向ける。
「契約を完全に絶っていると聞いている」。同社との契約状況を会見で問われた林真理子新理事長はそう答えたが、同大企画広報課は本紙に「複数年契約の看板広告に関する代理店契約が2本残っている」と説明した。本年度中に契約を終了する予定で「今後一切、同社との取引を行わない」としている。
報告書によると、同社は2011年ごろから日大企画広報部と取引を開始。姉弟で田中英寿前理事長の妻が切り盛りするちゃんこ屋に頻繁に出向き、高級プレゼントなどで歓心を買って関係を深めていった。
その結果、16年度には大学創立130周年記念事業のPR業務を受注。20年度の取引額は10億円超で、企画広報部の取引をほぼ独占した。18年にアメフト危険タックル問題で設置された第三者委が契約について透明性の確保を求めても、改善されなかった。
姉は企画広報部の業務や職員人事にも介入。報告書は「職員が人事的な不利益を課せられると疑心暗鬼になり、姉の要求を受け入れるしかないという気持ちになっていた」と指摘した。
林氏は会見で、私物化や癒着への対応について「透明化の上に透明化を重ねなければいけない。時間がかかると思うが、一つ一つ検討することが大切だ」と述べたが、ある日大関係者は「契約継続を把握していないのは問題だ。本当に癒着や私物化を絶てるのか」と疑問視。別の日大幹部は「組織はアリの一穴から滅びる。同じ過ちを二度と繰り返させないよう注視していく」と話した。(奥村圭吾)
東京新聞 2022年7月2日 06時00分
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