
調剤報酬を改ざん、不当返請求分隠す 全国展開の薬局
沢伸也、田内康介2019年6月7日05時00分
https://www.asahi.com/articles/ASM667WW9M66ULZU00M.html
全国でチェーン展開する「アイランド薬局」の北海道内にある店舗が、厚生労働省から調剤報酬の不当な請求を指摘された後、
請求にかかわる資料の内容を改ざんして厚労省側に虚偽申告し、返金額を減らしていたことがわかった。
改ざんは、薬局を運営するアポロメディカルホールディングス(東京)の役員が指示していたという。
運営会社役員「何とかできないか」 調剤報酬改ざん指示
朝日新聞の指摘を受け、アポロ社の親会社で医薬品卸大手のアルフレッサホールディングス(東京)が調査したところ、事実関係が確認された。
アルフレッサは、全国のアイランド薬局など104店で同様の不正がないか調査を進める。
アルフレッサによると、北海道北広島市にある「アイランド薬局ほくしん店」が昨年、厚労省出先機関の北海道厚生局の調査を受け、不当な請求があると指摘を受けた。
「薬のカルテ」と呼ばれる薬剤服用歴(薬歴)に記載がないのに、記載したとして調剤報酬が請求されている、などの内容だった。
厚生局は同店に対し、5年分の薬歴を自主点検し、不当な請求分を申告したうえで返金するよう通知。
同店の責任者が未記載の薬歴を調べたところ、1万5231件が確認され、アポロ社の薬局運営を担当する取締役に報告した。
しかし、取締役は店側に返金額を減らすよう指示し、薬剤師や本社幹部らが薬歴に内容を書き加える作業を開始。
未記載は244件まで減らされ、実際は約660万円だった返還金が約10万円になったという。
アルフレッサの調べに対し、改ざんを指示したアポロ社の取締役は、「(当時の)社長に相談し、指示があった」と説明したという。前社長は今年5月に死去した。(沢伸也、田内康介)
◇
〈調剤報酬〉 薬を処方するときに薬局などが受け取る報酬のこと。患者の自己負担分をのぞく7〜9割分が、健康保険料や税金などから支払われる。
薬の組み合わせや副作用の有無などを確認し、薬剤服用歴に記載することも報酬の対象で、金額は1回の処方で410円か530円。