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感染性の下痢、消化悪いたんぱく質で悪化 慶応大学
慶応義塾大学の金倫基教授や京都大学などは、入院患者に多くみられる感染性の下痢症について、消化の悪いたんぱく質を摂取すると症状が悪化しやすいことを動物実験で明らかにしたと発表した。たんぱく質が分解されて生じるアミノ酸が、菌の増加につながっていた。食事を用いた感染症予防法の開発につながるという。
抗菌薬による治療を受けた入院患者はCDIと呼ばれる感染症を発症しやすい。抗菌薬で腸内細菌の多様性が失われ、原因となる細菌が増えやすくなるとみられる。
研究チームは抗菌薬を投与したマウスを2グループに分け、大豆由来のたんぱく質を含む餌と、乳製品由来のカゼインというたんぱく質を含む餌をそれぞれ与えた。CDIの原因菌を投与すると、大豆たんぱく質を与えたグループでは全てのマウスが2日目に死亡した。一方、カゼインを与えたグループでは半数が10日間生存した。
詳しく調べると、腸内の特定の乳酸菌が大豆たんぱく質を好んで分解し、できたアミノ酸をCDIの原因菌が利用して大腸内で増殖していることが分かった。この乳酸菌はカゼインはあまり分解しなかった。乳酸菌の持つ分解酵素の何らかの特徴により、分解の仕方に違いが出るとみられる。
小腸でたんぱく質の大部分が分解され吸収されれば、大腸にアミノ酸が届きにくい。研究チームは消化されやすいたんぱく質を多く取ればCDIの発症を抑えられる可能性があるとしている。腸内でアミノ酸を消費する別の細菌を投与し、CDIの原因菌がアミノ酸を利用できなくするといった予防法の開発にも期待ができる。
腸内細菌の種類やバランスは普段の食生活などによって個人差がある。大豆や乳製品由来など、たんぱく質の種類と消化のしやすさの関係も人によって異なるとみられる。
